- Archive
- Project
2008 所沢ビエンナーレ・プレ美術展 引込線
ステイトメント
「所沢ビエンナーレ」は、2007年霜月、所沢市にゆかりのある美術作家数名の発案により始動いたしました。
発足当初からの主旨は、「表現者の原点に還って作品活動のできる場をつくること」でした。なぜなら、表現者といえども、刻々とかわる時代状況や美術思潮の変遷から無縁ではなく、そうした意味で、現在こそまさに、表現の純度、表現の強度を保つことの困難な時代状況にあると認識するからです。
その要因のひとつは、バブル期以降の美術をめぐる経済の肥大と衰弱。そしてその波の中で、多くの美術家や美術館員が指針を見失っていったこと。もうひとつは、その自己崩壊のなかで、美術思想は衰弱し、逆に、それに反比例するかのように、美術作品の極端な商品化、状況のコマーシャル化が進行していったことにあります。
たとえば、秋葉原風俗を背景にした一連のフィギュア・ポップもその一つといえますが、その凍りついたような人工性と一面性と表層性が、無差別殺傷事件に象徴される、深層からの逆襲を招いたともいえます。美術思想とは本来、表面から闇に向かって垂直に下りてゆくパースペクティブを獲得する「知」であったはずですが、闇を欠いた表層の美術とその周辺は、皮肉にも闇の側に飲み込まれることになったのです。美術が今取り戻さなければいけないのは、表層の快楽ではなく、闇を含めた存在の全体性の回復なのだと思います。そして、今それをなしうるのは、ギャラリーでもなく、美術館でもなく、作家自体の行動なのだと考えます。
このような経過の下、私たちは今年、自主企画展「所沢ビエンナーレ」・プレ美術展「引込線」を開催することになりました。また、参加者は美術家だけに限定されるべきではなく、美術批評家をはじめ、美術館員、美術教師、学者、思想家といった、美術を構成するすべての成員に、私たち美術家と同じ立場で参加して頂くべきだということになりました。
そうした意味も含めて、この展覧会は、前例に無い、画期的なものになるだろうと考えます。
「引込線」という展覧会のタイトルには、美術に係わるものの覚醒した意志を引き込む、吸引力のある磁場をつくり出したいという、作家側の切なる意図が込められています。
展覧会概要
会期:2008年8月27日–9月12日(17日間・会期中無休)
開場時間:午前10時–午後6時
入場料:無料
会場:西武鉄道旧所沢車両工場
所在地:〒359-1124 埼玉県所沢市東住吉10-1
来場者数:約4,700人
印刷物
展覧会ポスター・チラシのデザイン:大石一義
展覧会ポスター・チラシ掲載写真撮影:山本糾
スタッフ
会場ボランティア
- 秋山田津子
- 今井大介
- 飯田裕子
- 飯塚陽子
- 伊藤太郎
- 岩井マミ
- 内山結美子
- 太田依季
- 岡田篤子
- 小川英樹
- 小川幸子
- 加藤和枝
- 亀山友紀代
- 川上彩菜
- 河邊ありさ
- 小板橋隆記
- 肥沼眞理子
- 木口敬子
- 工藤伸
- 栗原加苗
- 佐藤遼太郎
- 斉藤翔
- 白盛旭
- 平寛子
- 滝玲
- 玉林裕美子
- 原田賢幸
- 姫野亜也
- 平塚あや子
- 向井萌
- 茂木美里
- 安田真子
- 山崎成美
- 山本香那
- 渡辺敏文
- (計35名)
書籍概要
仕様:B5サイズ、オールモノクロ/約200頁
デザイン:大石一義
制作:大石デザイン事務所
写真撮影:山本糾(表紙、見返、会場・出品作品)
編集:椎名節、坂上しのぶ、保谷香織
印刷:公和印刷株式会社 馬場芳和
発行元:所沢ビエンナーレ実行委員会
発行日:2008年10月1日
価格:2,500円 ※展覧会場で予約販売(送料込み)、その後、2,000円に値引き
主催・助成等
主催:所沢ビエンナーレ実行委員会
共催:所沢市、所沢市教育委員会
協賛:武蔵野美術大学、株式会社資生堂
協力:西武鉄道株式会社、埼玉県立近代美術館
後援:埼玉県教育委員会、日本大学芸術学部
協力ギャラリー:秋山画廊、ギャラリー21+葉、KENJITAKI GALLERY、SHUGOARTS、ヒノギャラリー
実行委員会
実行委員会長:中山正樹
副実行委員長:遠藤利克、戸谷成雄
実行委員:伊藤誠、高見澤文雄、建畠朔弥、多和圭三
─
運営委員
ロゴデザイン・印刷物デザイン:大石一義
広報:坂上しのぶ、保谷香織
会計:戸谷たみ子
監査:椎名節、前山裕司
─
公式ウェブサイト
デザイン・制作:飯田恵、細野一三(META STUDIO Ltd.)
*このウェブサイトは現存しません。