ステイトメント
「引込線」は、埼玉県所沢市に在住する数名のアーティストを発起人とした美術展です。2008年のプレ展より「所沢ビエンナーレ 引込線」として実施、2013年展以降「引込線」として開催する本展は今回で通算五回目となります。この展覧会の企画を考えはじめたゼロ年代初頭、2001.9.11が圧倒的なリアルを露呈させました。それは徹頭徹尾、物質的であり重力の支配する地上的できごとでしたが、日本においては、バーチャルな映像的世界としか実感できませんでした。美術の状況も大衆的バーチャルイメージが氾濫し、美術市場も不景気の煽りからそれらを積極的に取り上げました。これらの状況を批判しつつも、私達にも確固とした「表現論」があるわけではなく、批評の活性化こそが重要であるとの認識に至りました。そして状況に左右されない「発表現場」の確保が急務であると。そこで「世代を超えた作家、著述者、観者による交通の場を形成すること」を目的として2008年、本展を立ち上げました。あれから7年が経ちましたが、その間、2011.3.11東日本大地震、大津波、福島原発のメルトダウン、それらの物質的、物体的リアルの露呈を目の当たりにし、圧倒され、恐怖し、自然との意識関係の再構築を迫られました。私達の半身は、永久に自然に内接して在ると。それが直接作品や批評に影響するかどうかは、意見の分かれるところですが、バーチャルと現実の混在状態に楔を入れる契機となったのではないかと思います。
前回に引き続き本展会場となる旧所沢市立第2学校給食センターは、現在、災害時用緊急物資、機材の保管庫として使用されており、作品はそれら物資、機材と同居するかたちの展示となります。展覧会会期中には、ディスカッションの場「ゼミナール給食センター」を設け、ゲストや観者を交え議論を深めたいと思います。また、最終的には展示作品の図版、コメントと執筆者全員のテキスト及び、展覧会全体の記録を収めた書籍を出版します。
引込線2015実行委員長 戸谷成雄
展覧会概要
展覧会期:2015年8月29日–9月23日(会期中無休)
開場時間:午前10時–午後5時
開催場所:旧所沢市立第2学校給食センター
所在地:埼玉県所沢市中富1862-1
入場料:無料
参加美術作家
チラシ、ポスター、作品ガイド
デザイン:小沼宏之
作品ガイド執筆:遠藤啓祐、小林公平、渡辺早代、勝俣涼(計4名)
スタッフ
会場ボランティア
- 山越梓
- 今井志芳夏
- 国川広川又健士
- 中川智香子
- 田中佑佳子
- 石井悠貴
- 有馬郁美
- 栗田大地
- 吉田杏
- 峰田裕美
- 田倉百合奈
- 藤浪美世
- 黒岩瑞希
- 伊藤真澄
- 三上耕作
- 二宮薫
- 三枝愛
- 浦彩佳
- 柴田悠紀
- 上久保徳子
- 菊池美穂
- 竹内美澄
- 鈴木雅徳
- 小山維子
- 渡辺早代
- 金子令子
- 中村葵
- (計28名)
会場設営補助
今村克
岩田勇哉
大谷享
豊島鉄也
森下聖大
(計5名)
広報協力
保谷香織
書籍概要
仕様:A5判、488頁
デザイン:小沼宏之
編集:櫻井拓
写真:加藤健(ppp.010-011、pp.057-106、pp.108-111、pp116下5点、p.123)
英訳:奥村雄樹(p.009)
英訳校正:グレッグ・ウィルコックス
発行元:引込線実行委員会
発行日:2015年11月15日
発行部数:1000部/価格:2,500円(税抜き)
印刷・製本:株式会社サンエムカラー
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掲載内容:展覧会記録写真、展覧会出品者によるコメント、参加執筆者による論考
参加執筆者
主催・助成等
主催:引込線2015実行委員会
助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団、公益財団法人 花王芸術・科学財団、武蔵野美術大学、公益財団法人 野村財団、三菱UFJ信託地域文化財団
協賛:コエドブルワリー
後援:所沢市、所沢市教育委員会
引込線2015実行委員会
実行委員長:戸谷成雄
実行委員:阿部真弓、石川卓磨、伊藤誠、遠藤利克、末永史尚、高嶋晋一、冨井大裕、中山正樹、前野智彦、水谷一、森啓輔
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会計:伊藤誠
ロゴ、書籍、チラシのデザイン:小沼宏之
書籍、チラシの編集:櫻井拓
展示記録の撮影:加藤健
ホームページ制作・運営:水谷一
ホームページ
http://hikikomisen.com/2015/index.html
*2015年当時はhttp://hikikomisen.com
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