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2009 第1回 所沢ビエンナーレ美術展 引込線
ステイトメント
本展は、作家自身による手作りの自主企画展です。開催に当たっては主に所沢市在住の美術家が中心となっていますが、「表現者の原点に立ち還って自ら表現活動のできる場をつくる」という展覧会の主旨に賛同を得た多くの共鳴者と共に行われる美術展です。100年に1度の不況と言われている今、表現者といえども、刻々とかわる時代状況や美術思潮の変遷から無縁であるわけもなく、現在こそまさに、表現の純度、表現の強度を保つことの困難な時代状況にあるという認識に立ち、シンプルで身近な展覧会を希求しようとするものです。バブル期以降の美術をめぐる経済の肥大と衰弱という経済依存の波の中で、多くの美術家や美術館員そして美術批評家が指針を見失っていったことは否めません。更に、その自己崩壊ともいうべき混沌の中で、美術思想は衰弱し、一握りの美術作品の極端な商品化、コマーシャル化、娯楽化が進行していったことは周知の通りです。美術が今取り戻さなければならないのは、単に自己表現するという表層の快楽ではなく、精神活動として深層における感性の快楽の回復だと考えます。今こそ私たちはそれを表出しうる場は、美術館でも、コマーシャル・ギャラリーでも、美術雑誌でもなく、美術家や執筆者自身の行動の中にこそ求めるべきだと考えるのです。その結果、本展は次のような性格を持つに至りました。
作家主導であること。
展覧会テーマを設けないこと。
作品の形体、形式、思想を限定しないこと。
出品者の人選は、可能な限りゆるやかであること。
美術家のみならず、執筆者も同じ地平の表現者として参加願うこと。
次世代が育つ現場であること。
本展は、こうしたゆるやかな枠組みのなかにも現れ出る幽かな通奏低音にこそ、耳をすますべき《何か》が在ると考えます。このような経過の下、私たちは昨年、所沢ビエンナーレ・プレ美術展「引込線」を開催し17日間という短い会期にも関わらず5千人近い入場者があったことは、美術展の在り方に対して一石を投じることができたのではないかと思っています。この展覧会は、2年ごとに、役員、参加者、展覧会コンセプトを刷新していく内部機構を、あらかじめ設定し包摂していますが、今年(2009年)は、第1回所沢ビエンナーレ美術展「引込線」として、昨年よりも展示空間を拡大して新たな参加者を加え、より一層充実した展覧会を目指します。美術家はもとより批評家、美術館員、学者、思想家、他の美術を構成するすべての成員に、同じ地平で参加していただき「表現の現場」としての展覧会とともに、会期終了後には作品の記録と批評誌の機能を合わせ持つカタログを出版いたします。そうした意味も含めて、この展覧会の「引込線」というタイトルには、美術に関心をもつ全ての人々の覚醒した意志を引き込む、吸引力のある磁場をつくり出したいという意図が込められています。
展覧会概要
会期:2009年8月28日–9月23日(会期中無休)
開場時間:10:00–18:00
入場料:無料
会場:西武鉄道旧所沢車両工場
所在地:埼玉県所沢市東住吉10-1
参加美術作家
印刷物
デザイン:大石一義
編集: 椎名節
写真:山本糾
スタッフ
会場ボランティア
- 明星温子
- 稲垣侑子
- 伊藤太郎
- 岩井マミ
- 因幡芽唯
- 海老原彩香
- 小穴琴絵
- 大橋朋美
- 岡田渥子
- 岡本真由子
- 加藤和枝
- 川越亜優美
- 木口敬子
- 菊池遥
- 北原亜紀
- 木下栄子
- 木村美紗子
- 木村瞳
- 倉岡良太
- 小峰麻梨乃
- 込戸かんな
- 坂本佳苗
- 佐々木愛理
- 清水彩
- 柴田みづき
- 占部紗也香
- 関真奈美
- 滝玲
- 田中圭子
- 辻美那子
- 津島唯
- 豊島鉄也
- 長場龍也
- 名倉正郎
- 中井伸太郎
- 中野悠子
- 日比野絵美
- 樋口ローラアリス梓
- 平井友紀
- 堀はる菜
- 前田望
- 増田稜子
- 水野桜子
- 峰村峻介
- 宮内昴
- 宮崎景子
- 宗則奈由子
- 山口春香
- 横尾歩子
- 横溝智香子
- 若松準
- 渡邊敏文
- (計52名)
シンポジウム
荒井隆大
中馬彩(会場スタッフも兼務)
山下真里佳
(計3名)
会場設営補
石井太介
小笠原主
工藤伸
小板橋隆記
林巧馬
藤川宙
(計6名)
イベント
新井裕美
内山結美子(会場スタッフも兼務)
加納智史
高巣健一郎
外川麻未
中俣志穂里(会場スタッフも兼務)
藤原友子
梁井彩(会場スタッフも兼務)
(計8名)
書籍概要
仕様:B5サイズ、カラー(表紙・本文/展示写真)+モノクロ約400頁
デザイン: 大石一義
編集:椎名節
編集協力:坂上しのぶ、保谷香織
写真撮影:山本糾
発行元:所沢ビエンナーレ実行委員会
発行日:2009年10月29日
発行部数:1000部/価格:2,500円 ※展覧会場で予約販売(送料込み)
印刷:公和印刷株式会社 馬場芳和
制作:大石デザイン事務所
掲載内容:全作家の展示風景写真及び略歴・コメントと、論文執筆者のテキストが掲載されています。
参加執筆者
主催・助成等
共催:所沢市、所沢市教育委員会
支援:文化庁
助成:公益財団法人花王芸術・科学文化財団、公益財団法人朝日新聞文化財団、武蔵野美術大学
協力:西武鉄道株式会社、埼玉県立近代美術館、株式会社西武百貨店 所沢店、株式会社コエドブルワリー、株式会社そごう・西武 西武所沢店、西武電設工業株式会社、ケンジタキギャラリー、樹々工房
後援:埼玉県教育委員会、日本大学藝術学部
所沢ビエンナーレ実行委員会
実行委員長:中山正樹
副実行委員長:遠藤利克、戸谷成雄
実行委員:伊藤誠、高見澤文雄、建畠朔弥、多和圭三
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運営委員
ロゴデザイン・印刷物デザイン:大石一義
広報:坂上しのぶ、保谷香織
会計:戸谷たみ子
監査:椎名節、前山裕司
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書籍編集:椎名節
展示記録の撮影:山本糾
ホームページデザイン・制作:飯田恵(META STUDIO Ltd.)